最近の釣行では、やっぱりヘッドやネクタイのカラーによる活性への影響は思うほど大きくないのではないか、と改めて思った。
同じ船から同じような仕掛けを落としていても、魚はそれを同時に認知して、どれを喰うか決定している訳ではないのだろうと、ぼんやり考えた。魚が仕掛けを認知したとき、条件によって反応する(活性が刺激される)かしないか、なのだろうと。
ぼんやり考えたことを帰りの車中で同乗者と話していると、色々な考えが浮かんできたので、書き残しておく。
当たり前と言えば当たり前だが、投入からヒットまでのプロセスとしては
(1)魚が認知できる範囲に仕掛けが通って
(2)活性が刺激され
(3)魚が捕食可能な状態にあれば
ヒットするということだ。
まずは、魚が仕掛けを認知すること
「魚のいる場所に行く」という最も重要な要素は遊漁なら船頭、貸し船なら己の腕次第だ。魚のいない場所では、高価なタングステンだって飾りにもならない。
魚がいる場所であれば、仕掛けの色・形状・大きさによって認知しやすい・しにくいは多少あっても、仕掛けが動く以上、認知可能な範囲に仕掛けがあれば、全く認知しないということは考えにくいのではないだろうか。
仕掛けの役割は?
魚のいる海底には重りがないと届かないのだから、ヘッドには(1)の役割がある。カラーや形状が活性を刺激するのであれば(2)の役割もある。ネクタイが担うのは(2)の役割だ。
良型の真鯛が上がったとき、同乗者も船頭も「釣った人が何色のネクタイを付けていたか」を一番気にしている。ヘッドの重さやカラーを問われたことはほとんどない。ということは、釣果を上げるには活性を刺激することが一番重要で、それにはネクタイのカラーが一番重要だと、みんなは考えているということか?
ただ、ヘッドの重さは「底取りができるギリギリの軽さ」というセオリーがある。
泥や砂を舞い上げたり岩を叩いたりする目的や、状況の変化に合わせてこまごまと重さを変更するよりも、仕掛けが水中にある時間を重視して、あえて重くすることはある。
しかし、垂直に落ちるほど重くしたり、底が取れないほど軽くするようなセッティングはしない。つまり、ヘッドの重さは選択肢が多くない。
ヘッドのカラーについては赤・オレンジを多用している。乗っ込み時期に黄色を多用することはある。
1~2年前までは、ヘッドのカラーも細かく変えていたが、今はハヤブサTGのシュリンプオレンジさえあればいいのでは、という雰囲気だ。ヘッドのカラーが活性の刺激に与える影響は少ないと、みんなは考えているということなのだろうか。
というより、ヘッドの場合は明らかにカラーより重さが重要なのだから、カラーで悩まないだけだろうか。
だったらなぜ、ネクタイの色は気にするのに、ヘッドの色は気にしないのだろう?
(3)については、仕掛けの流れる方向と魚が進む方向、距離などの位置関係。活性が刺激されて捕食行動に出たが、口が届かない位置関係だった、とか。釣り人がコントロールできる要素が少なく、運の要素が大きい。
ネクタイは釣具屋が釣り人を釣る道具?
こうして考えてみると、ネクタイの形状とカラーが一番選択肢が多くて、他の要素については選択肢が少ない、または運の要素が大きいのだけなのでは、と思えてくる。
タイラバでは青い製品を見ないのと、「青には忌避行動を観察した」と書かれた論文もあることを考えれば、青は避けた方がいいのだろうけれど、青いメタルジグでは真鯛は食わないとは聞いたことがない。
そもそも、仕掛けと魚が出会った時点で、魚が活性の低い状態なのであれば、光の少ない海底で「色」だけで活性を刺激できるとは、ちょっと考えにくいと思う。というか、水深が深ければ深いほど水色以外の色はほとんど黒い。
タイラバはドテラ流しなのだから、流れる方向によって、船首側が有利だったり船尾側が有利だったりするだろうし、フックの大きさやアシストの長さがネクタイの動きに与える影響など、他にも考えることはあるはずだ。
同乗者がヒットし自分にヒットしない時、ネクタイカラーを合わせるために回収している内に魚が通り過ぎてしまうよりも、自分の釣りに集中するほうが重要なのではないだろうか。
着底時の糸ふけ量、巻きのスピード、底の質、潮流の変化、底を切る早さに集中し、小さな変化を見逃さない。ネクタイカラーよりも、同乗者が釣り上げたときに動じないメンタルの方が重要なのではと思う。
【参考】
https://www.jstage.jst.go.jp/article/suisan1932/45/1/45_1_1/_pdf
https://www.seafloor-control.com/before/html/report.html